Jetson Xavier NXをシャットダウンした後、電源をすぐにONにしようとしたらつまづいた話

Jetson Xavier NXをシャットダウンした後、電源をすぐにONにしようとしたらつまづいた話

Clock Icon2020.08.31

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

カフェチームの山本です。

カフェでは店舗でコンピュータビジョン用に機械学習のモデルを動かすために、Jetson Xavier NXを利用しています。無駄な電力を節約するために、店舗が閉まっている間は電源をOFFにし、開店時に電源ONにしています。

そのため、Jetsonを天井などの手の届かないところに取り付ける場合は、基盤の電源プラグを抜き差しするのではなく、別の電源スイッチでON・OFFを切り替える必要があります。しかし、Jetsonをシャットダウンした後、すぐに別のスイッチ(電源タップのスイッチ)をONにしてJetsonを起動しようとした際に、Jetsonの電源が起動しないという問題がありました。

今回は、この問題が起きる条件を調べ、その対応策についてまとめます。

状況整理

現状

以下のように電源を供給しています。

実現したいこと

今回、達成したい動作は以下のとおりです。

  • ケーブルをジャックから抜き差しするのではなく、電源タップのスイッチでJetsonの電源をONにする(Jetsonをシャットダウンした状態で、電源タップのスイッチをOFFからONにしたら、Jetsonの電源が入り起動する)
  • Jetsonをシャットダウンした後、別のスイッチですぐに電源がONができるようになる。

問題点

試してみたところ、以下のような状況を確認できました。

  • Jetsonをシャットダウンしてすぐに、ACアダプタを接続した状態で、電源タップのスイッチをOFFからONにしても、Jetsonの電源が入らない。

補足

もう少し詳しく書くと、以下のような現象が確認できました。

Jetsonをシャットダウンした後、

  • 電源タップのスイッチをONにした状態で、 Jetsonのジャックの電源プラグをつなぎ直す

    → Jetsonの電源が入り起動する(通常の挙動)

  • 電源タップのスイッチをOFFにした状態で、 Jetsonのジャックの電源プラグをつなぎ直し、 電源タップのスイッチをONにすると

    → Jetsonの電源が入り起動する

  • 電源タップのスイッチがOFFの状態にしたままで、 Jetsonの電源プラグをつなぎ直す

    → Jetsonが起動していることを示す緑LEDが一瞬光る、Jetson自体は起動しない

    2回目以降つなぎ直した場合

    → LEDは光らない

考えられる原因

同じカフェチーム(兼IoTチーム)の水島さんに聞いてみたところ、以下のアドバイスをいただきました。

考えられるパターンとしては…
コンセントを抜いてから次挿すまで十分な時間が空いていないため、
ACアダプタに電荷が残っており、JETSONの電源コントローラがシャットダウン状態を維持している…
・十分時間をおいてからコンセントに接続する
・残留電荷を抜くために電源端子に並列に抵抗を入れる
・製造元に確認する
ACアダプタが起動時の突入電流に耐えられず保護が働いて止まっている…
・ACアダプタを別の機種の交換する

調べてみた

試したことと結果

Jetsonをシャットダウンして、タップのスイッチをOFFにした後、以下の手順をそれぞれ行い、結果を調べました。

  • 30秒程度以内に電源タップのスイッチをONにする

    → Jetsonが起動しない

  • 30秒程度後に電源タップのスイッチをONにする

    → Jetsonが起動した

  • 2.2kΩの抵抗をJetsonの電源ジャックのピンに数秒間触れさせて、電源タップのスイッチをONにする

    → Jetsonが起動した

  • 1MΩの抵抗をJetsonの電源ジャックのピンに数秒間触れさせて、電源タップのスイッチをONにする

    → Jetsonが起動しない

  • 1MΩの抵抗をJetsonの電源ジャックのピンに20秒間触れさせて、電源タップのスイッチをONにする

    → Jetsonが起動した

どうやら原因は電荷が残っていることで、解決策としては抵抗を入れる良さそうです。

補足

再度、水島さんに聞いたところ以下のようなコメントをいただきました。

電荷が残ってるのが原因で間違いなさそうですね。

あとは、どれくらいの…
・電力の浪費を許容できるか
・抵抗の発熱を許容できるか
・電源断から投入まで待てるか
でトレードオフする形になるかと思います。

Jetsonの電源電圧は19Vであるため、2.2kΩの抵抗を取り付けた場合、計算上の消費電力としては 19V * 19V / 2.2kΩ = 0.164W です。Jetsonの消費電力はおおよそ10Wなので、1%程度増加する計算になります。(少し大きいと思われるので、抵抗値もう1桁くらい増やしても良いかもしれません。その際、電源を落としてから再度電源を入れるまで待つべき時間が長くなるはずなので、実際に計測して確認した方がよいと思います)

まとめ

電源プラグを抜かない状態では、シャットダウンを落としてから電源タップのスイッチを入れるまでの時間が30秒程度以内だと、Jetsonの電源がONにならないことがわかりました。

電源プラグに触れない状況で、電源をONにするための対応策としては、以下の方法があります。

  • (特に変更せず)30秒程度待ってから電源タップをスイッチを入れるようにする
  • 抵抗(数kΩ~数十kΩ程度)を電源と並列に取り付ける

この記事をシェアする

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.